専任看護師制度
チームナーシングとは真逆の看護制度として存在しているのが「プライマリーナーシング」という仕組みです。
日本語に訳すのであれば「専任看護師制度」ということになるでしょう。
このシステムが始まったのは意外に古く、1970年台のアメリカであると言われています。
では、この看護方式の内容について紹介します。
プライマリーナーシングにおいては、1人の患者に対して1人の看護師が専任として付くことになります。
この患者の看護については入院から退院までこの1人が担当することになる、というのがこの方式の基本です。
担当患者に対しては二十四時間責任をもつことが求められることになります。
ただ、勿論1人でつねに看護を行うということは物理的に不可能であるため、このサポートを行う役割としてアソシエートナースというものが設けられます。
この方式における最大のメリットは、看護に対する責任を分散させず、すべて自分の責任であるということを自覚させることにあります。
仕事として厳しいものである、ということを認識させることによって、より高度な医療を行えるようにするのが目的となっています。
メリットとデメリット
では、このプライマリーナーシングのメリットとデメリットについて考えてみましょう。
まずメリットとしては、1人が一貫して1人の患者さんを担当することによって、細かい変化などにも気づきやすくなる、ということがあげられます。
申し送りで情報共有を行う必要が(アソシエートナースを除けば)ないため、自分1人で情報の統括を行なうことが出来ます。
また、常に同じ看護師が担当するという安心感があるため、患者さんとも良好な関係を築きやすいのもメリットの一つです。
さらに患者さんだけではなく、患者さんの家族とも良好な関係を築きやすく、親身になって病気について話をすることが出来るようになります。
看護の計画についてもそれぞれが自主的に計画を行い、それに伴った業務を行なうことが出来るため、自分で考えて看護を行えるようになるわけです。
その反面で、デメリットというのも強烈に存在しています。
まず、看護師の能力によって患者さん事に看護レベルの違いが出てしまうことです。
新人がプライマリーナーシングを行なうのと、ベテランがプライマリーナーシングを行うのとでは全く意味が違ってしまいます。
さらに、看護師同士の情報共有がよわまわってしまうため「ヒヤリハットの共有」などが行いにくくなり、医療ミスを誘発してしまう可能性が高くなります。
この他にも、患者さんによっては別の看護師からの看護を嫌がるようになってしまうなどの問題点も指摘されています。
メリットもデメリットも強いプライマリーナーシングについてはまだまだ考える必要があるでしょう。