日本式のナーシング
ここまでに「チームナーシング」と「プライマリーナーシング」という、方向性が全く違っている看護システムについて紹介してきました。
この2つの方式というのはいずれも強いメリットと強いデメリットが存在しているものとなっており、極端な内容であることがポイントの一つとなっています。
そこでこの折衷案として日本で生まれた日本式のナーシングシステムとして「モジュールナーシング」というものについて紹介します。
このモジュールナーシングというのは、病棟内に2つ以上のチームを作り、さらにこれをモジュールに固定で振り分けるという内容です。
このモジュールの中において担当患者の入院から退院まで、一貫した看護を提供することになります。
まさにチームナーシングとプライマリーナーシングの中間的な存在である、ということが出来るでしょう。
モジュールというのは単位という意味で、単位型看護方式という名前で呼ばれることもあります。
この方式が生まれた背景として、日本とアメリカでは看護の体制に大きな違いがあることが挙げられます。
具体的には日本というのは一つの病院に配属されている看護師の数が少なく、アメリカ式の本格的なプライマリーナーシングを行なうことが困難である、ということが理由です。
それを克服するためにチームナーシングを取り入れることによって、擬似的なプライマリーナーシングを可能とすることが目的となっています。
モジュール式の良し悪し
では、モジュールナーシングのメリットとデメリットについても見て行きましょう。
まずメリットとしては、看護師が患者についての情報を全般的に保つ事ができる、とういことです。
そのため、1人で行なうよりもはるかに看護計画を立てやすくなり、適切な看護体制を作ることが簡単になります。
さらに、患者から見た場合にはプライマリーナーシングと同じく、自分を担当しているのが誰なのか、ということが分かりやすいのも特徴の一つです。
これによって信頼関係を築きやすく、適切な看護を行なうのにもポイントとなります。
加えて、看護師としての能力差による問題というプライマリーナーシングによる最大の問題点をチームナースを取り入れることでカバーすることができます。
対してデメリットとしては、一人ひとりが自立した能力を持っていることが求められることです。
さらに、患者数や看護師数が変わった場合について対応が必要となるため、編成を考えなければなりません。
また、この方式を採用するためにはモジュールの間でしっかりと情報共有を行えることが最低限必要な条件であるため、看護師同士の関係というのが重要になってきます。
日本で生まれて発展してきたナースシステムとして、今後が期待されています。