大阪では野菜の生産に適した砂質の土壌条件が形成されていきました。
そして、大阪は商業や海運が盛んであったことから、全国各地より美味しい食材が集まり、仕出屋や料理屋などの出現にともない、独特の食文化が発達していきました。
今回、先人の残してくれた伝統野菜のもつ「素材の美味しさ」を府民にもう一度味わってもらいたいとの思いから、関係各位の御協力を得て復活に取り組んでいるところです。
昆布
大阪のおいしさの一つは、「昆布」。
昆布の生産量は、現在全国で12万トンあまり。その95%は北海道沿岸で収穫されています。
日本の昆布は14属45種類あり、中でも真昆布、利尻昆布、羅臼昆布は、それぞれ風味のよいだしが取れるということで関西へ多く出荷されます。
昆布は江戸時代以降、北海道から届く昆布は、大阪の味をより深く多様な料理へと発展する大きな役割を果たします。
「ダシの文化」。大阪の料理には、昆布に、鰹節や煮干などのうまみを加わり、食材のハーモニーを楽しむ味覚を作り上げます。
食材は飛鳥・奈良時代の頃より、水運の発達で日本各地、大陸・朝鮮半島から様々な食材が運び込まれました。
近世以降、「天下の台所」と言われる日本の集散地の拠点となり、ますます豊富な食材が大阪に溢れます。
又近郊でも様々な野菜や豊富な魚介がありました。
これらの物流を支えた商人も多くいました。
商人たちによって、おいしいものをいかにおいしく食べるか日本の食の基本とも言える「味」が完成されます。
大阪の風土や歴史から、原点を紐解いて見ましょう。
なにわの伝統野菜
京都の京野菜は全国的に知られています。
しかし実は大阪にもたくさんの伝統野菜があるのを知っていますか。
大阪での野菜のことを「なにわ伝統野菜」といいます。
なにわ伝統野菜とは、およそ100年前以上から大阪で栽培されていたものです。
そして苗、種子等の来歴が明らかで大阪独自の品目、品種かつ栽培に供する苗、種子等の確保が可能です。
また大阪府内で栽培されているものです。
この3つの条件を満たすものが、「なにわの伝統野菜」として大阪府から認定されます。
急速な近代化によって、一度は消えてしまったものもありますが、大阪の食文化でもある「なにわの伝統野菜」を再び復活させる取り組みが始まっています。
伝統野菜は、害虫の被害や、気温の変化に弱いため、ほかの野菜に比べて手間がかかります。
しかし、「大阪の味」のために農家の人たちは大事に育て守っているのです。
近年はスーパーなどでは海外からの野菜も多くみかけるようになりましたが、やはり何といっても地域の風土にあった地元の野菜が良いです。
伝統野菜とは、昔からの地域の風土の中で作られた野菜で、当時はその地域では日常的に食べられていたものです。
近年は、農家の自家需要などで生存していた品種を、産地の地域おこしとして取り入れ、近傍の都市向けには地産地消商品、大都市圏向けにはスローフード商品とする戦略などがみられます。
24時間活動している現代社会では、形や大きさが揃った流通販売しやすい野菜に取って代わられたため、姿を消してしまったものもあります。